本記事では「トヨタグループ株式ファンドは儲かるのか」をテーマに、ファンドの概要・運用実績や手数料水準・投資家の口コミ評判・今後の見通しなどを解説します。
「トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンド」は、2000億円近い資産を運用する人気投資信託の一つ。
日本経済を牽引し、世界でもトップクラスの自動車販売台数を誇るトヨタ自動車を中心に投資するファンドということで、多くの投資家から注目されています。
そこで本記事ではリターンの高さだけでなく様々な角度から、トヨタグループ株式ファンドは儲かるのか、投資すべきかを見極めます。
「知人に勧められたけど‥本当にトヨタグループ株式ファンドは儲かるのかな?」
そんな疑問を抱える方はぜひ最後まで読んでみてください。
トヨタグループ株式ファンドは儲かるのか?特性・組入銘柄を解説
トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドは、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が運用する投資信託です。
トヨタ自動車株式会社とそのグループ会社の株式に投資し、グループ全体の成長を通じて信託財産の増加を目指します。
トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドの概要
運用会社 | 三井住友DSアセットマネジメント |
---|---|
投資対象 | 国内株式 (トヨタ自動車株式会社とそのグループ会社の株式) |
投資形式 | 「トヨタグループ株式マザーファンド」に投資するファミリーファンド形式 |
運用分類 | アクティブ運用 (ベンチマークなし) |
設定日 | 2003年11月14日 |
組入銘柄 | トヨタ自動車株式会社とそのグループ会社20銘柄前後 |
基準価額 (2024/9/25) | 35,409円 リアルタイムの基準価額:チャート |
純資産総額 (2024/9/25) | 1773億円 |
決算頻度 | 年1回 (毎年11月) |
新NISA制度 | NISA成長投資枠に適応 |
販売会社 | 楽天証券絵/マネックス証券/SBI証券/松井証券/野村証券、ほか多数 |
運用方針と組入銘柄
トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドは、対象銘柄に直接投資するのではなく「トヨタグループ株式マザーファンド」への投資を通じて運用を行います。
このトヨタグループ株式マザーファンドが組入れる銘柄は、トヨタ自動車株式会社とそのグループ会社を併せた約20銘柄で、グループ会社については東京証券取引所に上場している株式の中から流動性を勘案して銘柄を選択します。
組入銘柄への投資比率は、トヨタ自動車株式会社が50%、残りの50%がグループ会社銘柄で、各銘柄の時価総額に応じて分配します。2023年11月の決算時に公表された同ファンドの全組入銘柄は以下の通りです。
銘柄名 | 業種 | 比率(%) 2024/9/26時点 | 時価総額 (円) | 分類 | ||
---|---|---|---|---|---|---|
1 | トヨタ自動車 | 自動車 | 50.6 | 96.69 | 51兆 | 大型株 |
2 | デンソー | 自動車部品 | 17.7 | 7.8兆 | 大型株 | |
3 | 豊田自動織機 | 自動車部品 | 9.3 | 4.6兆 | 大型株 | |
4 | 豊田通商 | 商社・卸売 | 7.4 | 3.2兆 | 大型株 | |
5 | SUBARU | 自動車 | 5.2 | 2.5兆 | 大型株 | |
6 | アイシン | 自動車部品 | 3.4 | 1.6兆 | 大型株 | |
7 | 小糸製作所 | 電子機器・部品 | 1.7 | 6876億 | 大型株 | |
8 | ジェイテクト | 機会 | 1.0 | 3800億 | 大型株 | |
9 | トヨタ紡織 | 自動車部品 | 0.9 | 4085億 | 大型株 | |
10 | 豊田合成 | 自動車部品 | 0.8 | 3702億 | 大型株 | |
11 | 日野自動車 | 自動車 | 0.6 | 1.83 | 2523億 | 中型株 |
12 | 東海理化 | 自動車部品 | 0.5 | 2001億 | 中型株 | |
13 | 愛三工業 | 自動車部品 | 0.2 | 861.4億 | 小型株 | |
14 | 愛知製鋼 | 鉄鋼 | 0.2 | 719.9億 | 小型株 | |
15 | フタバ産業 | 自動車部品 | 0.2 | 776.6億 | 小型株 | |
16 | 中央発條 | 金属製品 | 0.1 | 293.7億 | 小型株 | |
17 | 大豊工業 | 機械 | 0.06 | 236億 | 小型株 | |
18 | 共和レザー | 化学 | 0.04 | 188.6億 | 小型株 | |
19 | 澤藤電機 | 電子機器・部品 | 0.01 | 52.7億 | 小型株 |
ポートフォリオの約50%を占めるトヨタ自動車は、上場する日本株式(約4000社)の時価総額ランキングで1位であり(2024/9/26時点)、約17%を占めるデンソーは26位、続く豊田自動織機は45位と、国内有数の大型株で構成されています。
こちらの3銘柄の過去20年間のパフォーマンス推移(下記)を見ると、ピンク色で示したTOPIXを大きく上回っており、高い成長力で日本株式市場を牽引してきたことが分かります。
現在もトヨタ自動車は、世界の自動車市場で10%を超えるシェアを持っており、かつ自動車産業分野自体、今後10年間6%を超えるCAGR(年平均成長率)で成長すると予想されているため、「トヨタグループ株式ファンドは儲かるのか」については、長期的にはその可能性が高いのではと予想されます。
しかし、前述の通りトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドは、組入銘柄のほとんどが自動車産業に属しており、グループ会社のトヨタ自動車への売上依存度も高いです。
さらに、投資先は19銘柄と投資信託の中では桁違いに少ないうえ、資産の分配比率は上位6銘柄だけで90%を超えます。つまり同産業分野の限られた少数の銘柄だけに集中投資しているという事です。
いくらトヨタ自動車の業績や将来性が高くても、同社の経営が悪化するようなイベントが起これば、トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドに投資する投資家は大きな損失を負いかねません。
実際、トヨタ自動車の株価はグループ会社の不正発覚などで今年3月中旬から2か月で15%近くも下落しており、さらに先日6月3日にはトヨタ自動車自体の不正も明らかになったばかり。今後不正による影響がどこまで広がるかによって、トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドの見通しに影響が出そうです。
(参考:日本経済新聞|トヨタ豊田章男会長「認証の根底揺るがす行為」 不正巡り)
先ほどのチャート表を改めて見てみると、トヨタ自動車のグループ会社の不正が発覚して以降、TOPIXが上昇しているにも関わらず、本ファンドの上位3銘柄は同時に下落していますね。
このように、トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドの投資先は非常に集中的であるため、投資の基本とも言える分散投資ができない点に注意が必要です。
トヨタグループ株式ファンドは儲かるのか?運用実績 (利回り)と手数料
現在、次々と明るみに出た不正問題でトヨタ自動車やグループ会社の株価が下落していますが、トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドの運用状況はどうなっているでしょうか。
これまでの運用実績と現在の状況を数字やチャートで追っていきましょう。
過去の運用実績(リターン/リスク/分配金等)
以下は、トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドの過去5年間の基準価額と純資産総額の推移です。
2024/9/26時点
青色:基準価額
金色:分配金込基準価額
上記チャートの基準価額の推移からは以下のような点が読み取れます。
- 2020年のコロナショックなどの景気後退時には大きく下落
- 2023年頃から株価が急騰
- 過去20年間では年率10%程上昇(株価急騰前までの期間では年率5%弱で成長)
トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドの基準価額は、過去20年の間、急激な景気後退の影響による下落を経験しながらも平均的には年率5%程で成長してきました。
2023年からは、歴史的な円安に加え、半導体不足の解消による生産台数の回復やEV開発への期待感からトヨタ自動車株が急騰し、これにより本ファンドの過去20年の平均年間リターンも12%程に上昇しています。
※注:直近では自動車産業界隈の不正問題にて下落
では続けて、リターンの他に、リスクや投資効率などの点も併せてファンドの運用成績を見てみましょう。
1年 | 3年 | 5年 | 10年 | |
---|---|---|---|---|
分配金累計 | 850円 | 1,960円 | 2,970円 | 5,090円 |
リターン(年率) 分配金再投資 類似ファンドの平均値 ニッセイ日経225インデックスF | +56.89% (+27.84%) (+26.52%) | +19.22% (+12.53%) (+11.93%) | +20.49% (+14.23%) (+15.21%) | +11.41% (+10.54%) (+11.95%) |
リスク(年率)※標準偏差 類似ファンドの平均値 ニッセイ日経225インデックスF | 26.77% (14.20%) (18.40%) | 21.45% (12.21%) (15.80%) | 22.26% (14.11%) (16.72%) | 22.17% (14.54%) (16.36%) |
シャープレシオ(年率) 類似ファンドの平均値 ニッセイ日経225インデックスF | 1.68 (1.66) (1.26) | 0.93 (1.03) (0.79) | 0.95 (1.02) (0.93) | 0.60 (0.76) (0.77) |
直近数年のリターンは、コロナショック後の大規模金融緩和や2023年からの株価高騰の影響が強いため、ここではもう少し長期的に過去10年間の運用成績に注目してみます。
トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドの過去10年の平均年間リターンは11.41%、リスクは22.17%、投資効率を表すシャープレシオ(数値が高い程投資効率が良い)は0.60でした。
比較対象として表に記載した、類似投信や日経225に連動する「ニッセイ日経225インデックスファンド」の運用成績と比べると、リターンは同水準であるにも関わらず、集中投資の本ファンドのリスクは比較対象よりも6~7%も高くなっています。
以上の点から「トヨタグループ株式ファンドは儲かるのか」については以下のように言えるでしょう。
・10年前に100万円を投資していたら278万円程になっていた計算(手数料・税金考慮外)
=トヨタグループ株式ファンドは儲かる
(しかし)
・トヨタグループ株式ファンドの投資リスクは高め
・より低いリスクで同水準の利益を得られるファンドも多い
(また)
・トヨタグループ株式ファンドの過去10年リターンは日経平均インデックスファンドに劣後している
=インデックスファンドをアウトパフォームできないなら、信託報酬が高いトヨタグループ株式ファンドに投資するメリットは薄い
確かにトヨタ自動車自体は長期的には成長が期待できますが、やはりトヨタ自動車やトヨタグループのみに集中投資するのはハイリスクです。
上でも紹介した日経平均インデックスファンドには、当然のことながらトヨタ自動車やデンソー、豊田通商などのトヨタグループの銘柄も含まれています。
現在は不祥事により先行きが不安定な状態でもあるため、トヨタグループの集中投資は避けてより資産を分散できるインデックスファンドに投資するほうが安全性の面ではおすすめです。
もしトヨタ自動車への投資比率を高めたいなら、インデックスファンド+トヨタ自動車の個別株を購入というのもありです。
トヨタ自動車の個別株への投資であれば、投資信託のような信託報酬も掛かりませんし、NISA口座だって同じく利用できます。トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドの2023年の分配金利回りは1.92%でしたが、トヨタ自動車の配当金利回りも2.33%とインカムゲインも同水準です。
手数料水準
既出のように、運用成績が同水準であれば手数料が安いファンドのようが投資家の手に残る利益は大きくなります。
ここではトヨタグループ株式ファンドの手数料率を他ファンドと比較してみましょう。
トヨタグループ株式ファンド (アクティブファンド) | ニッセイ日経225インデックスファンド (インデックスファンド) | |
---|---|---|
販売手数料(購入時) | 0~3.30% | 0% |
信託報酬 (毎日) | 年率0.759% | 年率0.275% |
信託財産留保額(解約時) | なし | なし |
投資信託には大きく表中の3種類の手数料が掛かります。
投信の購入時に一度だけ掛かる販売手数料は上限3.3%ですが、SBI証券や楽天証券など販売手数料が掛からない証券会社も多いです。
問題は、投資信託の保有中毎日差し引かれる「信託報酬」で、例えば運用残高が100万円の状態で1年間運用したと仮定すると、信託報酬は年間7590円ほど発生します(年率0.759%の場合)。
もちろん、手数料以上の利益が出ていれば問題ないですが、投資信託では運用がマイナスになっている期間であっても信託報酬は毎日発生してしまうため、信託報酬は安いに越したことはないのです。
トヨタグループ株式ファンドはアクティブファンドではありますが、そもそも組入銘柄や調査対象となる銘柄が極端に少ないこともあり、他のアクティブファンドと比べると信託報酬率は低めです。
しかし、既出の「ニッセイ日経225インデックスファンド」のようなインデックスファンドと比較すると、やはりコストは高めです。
「運用残高が100万円の状態で1年間運用した」と仮定してシミュレーションすると、両ファンドの信託報酬の差は年間4840円。運用資産が1000万円、2000万円と大きくなればなるほど差がより顕著になります。
では、投資コストの観点から見てトヨタグループ株式ファンドは儲かるのか、結論は以下の通りです。
トヨタグループ株式ファンドは儲かるが、市場平均をアウトパフォーム出来ないなら、インデックスファンドのほうが手数料差し引き後に手元に残る利益が多くなる可能性が高い(=より儲かる)。
トヨタグループ株式ファンドは儲かるのか?投資家の口コミ・評判
ここまでトヨタグループ株式ファンドの概要・運用方針・成績・投資コストなどについて解説してきましたが、日本の他の投資家の方々は本ファンドをどう評価しているのでしょうか。
ファンドアワードの受賞歴
投資信託については、「モーニングスター・アワード 」、「R&Iファンド大賞」、「投信ブロガーが選ぶ!Fund of the Year」など、様々な団体が優秀なファンドを選考するアワードを行っています。
その中で、トヨタグループ株式ファンドは、2021年度モーニングスター・アワード ファンド オブ ザ イヤーで最優秀ファンド賞(国内株式型 部門)を受賞しています。
これは当時の本ファンドリターンが年間37.85%(2021年2月~2022年1月)で、国内大型バリュー株ファンド全106ファンド中2位であったことも評価された理由のようです。
ただこの時は、世界的な金融緩和を受けて株式は軒並み上昇しましたし、本ファンドが独自の運用で好成績を出したとゆうよりも、単にトヨタ自動車の株価自体が非常に好調だったという部分が大きいように思います。
投資家の口コミ評判(Yahoo!fファイナンス掲示板より)
また「トヨタグループ株式ファンド」のYahoo掲示板には以下のような口コミ・評判が書き込まれています。
2024年1月(ダイハツ不正発覚)
- 出荷停止かぁ。利確すべきかん~悩む 😔 @
- 下がれば買い。絶対に、将来上がる。
2024年2月
- まさかバブルを超える高値。解約タイミングが分かりません。なんてこったい。
2024年3月(決算期)
- V字急上昇!円安カンフル効いた~。
- トヨタ自動車株が年高です!
2024年4月
- ガクッと下がったところで、平均単価を下げるために追加で購入しました。
2024年5月(決算発表)
- トヨタの業績はいいのに株価には反映されないんですね。プラスになるまで気長に待ちます。。
- 今日もトヨタ株価は下落方向ですね。平均単価下げはもう少し様子を見ても良いかもしれませんね。私は現状維持で、週末に掛けて下落続くようであれば追加購入を検討します。
2024年6月(トヨタ自動車不正発覚)
- 不正トップニュースやめてぇ。ワイドショー取り上げやめてぇ。
- 寄付きにトヨタ株買った。そして~トヨタファンドにスポット追加購入をする。
- どこかで間違ったなら、その誤りをとことん突き止めて改善し良くしていく努力をする。それをしっかりやっているトヨタはやはり素晴らしいと思う。今のトヨタはそこの段階。信用も株も下がるのは仕方がない。でも、ピンチはチャンス!いまある問題をひとつづつ解決していき何年か後にはトヨタは世界一と呼べる企業になる!とおもうんだなぁ~ 😊
今年初めからトヨタ自動車の株価上昇が目覚ましく、この頃から現在までYahoo掲示板の口コミ評判も非常に賑わっています。
特に最近の口コミ・評判は、例の不正問題の件でもちきり。特に多かったのは今回の(不正問題による)株価下落をチャンスとしてさらに買い増したという内容で、一時的な下落はあっても長期的な目線ではまだまだ上がるだろうという期待が高いようです。
株価急落中のトヨタ株ですが、日本のみならず世界を代表する企業であるトヨタ自動車への信頼は、簡単には揺るがないようです。Yahoo掲示板の「みんなの評価」では、(株を)「買いたい」と回答した人が100%で、下落しているうちに追加購入しようという人が多いのだと予想されます。
これらの投資家の評価が合理的かどうかは別として、投資家心理は楽観的な傾向にあるようですし、3月末時点でのトヨタ自動車の業績は好調であり、EVなど今後も市場の成長が見込まれていることから、長期的な目線ではトヨタグループ株式ファンドは儲かる見通しが強いと考えられます。
トヨタグループ株式ファンドは儲かるのか?今後の見通しと投資の是非
まず前述のように、自動車産業は今後10年間6%を超えるCAGRで成長するという予想が出ており、トヨタ自動車もHV(ハイブリット)だけでなくEV(電気自動車)やモビリティサービスの拡大にも積極的に取り組んでいますから、今後の成長余地はまだ大きいと言えます。
しかし、トヨタの業績を占う上で最も重要と言っても過言ではないのが為替です。
為替の見通しはトヨタにとっては悪く、これから円高方向に動く見通しになっています。
トヨタの生産台数は、北米と欧州市場で全体の30%を占めます。円高になると、円ベース売上が減少してしまうため今後の見通しはかなり良いとは言えないでしょう。
低リスクで高利回りを狙うなら「ヘッジファンド」も検討したい
投資信託を利用する方に同じくおすすめなのが、絶対収益型でミドルリスク・ハイリターンを実現する「ヘッジファンド」。
投資信託と同様に、投資家から集めた資金を運用を投資のプロであるヘッジファンドマネージャーが運用し、運用で得た利益を投資家へ還元します。
一見すると投資信託と似ていますが、投資戦略や手法など運用の中身は大きく異なります。
というのも、ヘッジファンドは運用目標となるベンチマークを持たず、株式・債券・不動産・金・デリバティブ・オプションなど多様な資産に投資するオルタナティブ投資で、幅広く投資チャンスを狙いに行きます。
また、アクティブファンドのように独自の基準で銘柄を分析・選定するだけでなく、投資信託では原則使用できない「空売り(下落相場などで売りから入る取引手法)」や「レバレッジ」を使用した高度な戦略で、投資信託ファンドがマイナスを出すような下落相場でも積極的に利益の獲得に動くのです。
このような理由から、ヘッジファンドは下落相場での耐性が強く、利益獲得の機会が多いため、資産を長期的に安定して増やしていく必要のある厚生年金基金や大学基金、さらには個人の運用先としても選ばれています。
ヘッジファンドの本場はアメリカですが、日本国内にも安定して年利10%以上を出し続けているヘッジファンドがあります(BMキャピタルなど)。500万円以上の投資資金がある場合は、ヘッジファンドの併用も検討してみましょう。
中でも筆者おすすめのヘッジファンドは次の2社です。
BMキャピタル
運用開始 | 2013年 |
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投資対象 | 日本株(バリュー株) |
年間利回り | 10%以上 |
最低投資額 | 1000万円 ※1000万円未満の相談可 |
資料請求・ 運用の相談 | 無料 |
面談の形式 | オンラインまたは対面 |
ロックアップ期間 | 3ヶ月 ※3ヶ月に1回出金・解約が可能 |
公式サイト | BMキャピタル公式サイト |
BMキャピタルは2013年創業の老舗ヘッジファンド。
運営歴が10年以上あるにも関わらず、運用成績がマイナスになった年が1度もない「絶対収益」を実現している安心感のある日本のヘッジファンドです。
BMキャピタルは、バリュー株投資をメインに平均利回り10%以上の運用実績があります。
企業価値が高い割に株価が正当な評価を受けていない割安株のこと。株価の下落リスクが少なく、今後株価が上昇する可能性が高いので、長期運用によってリターンが得られやすい。
国内のヘッジファンドの中では歴史が古く、運用成績が安定していることからBMキャピタルが一番おすすめです。
強引に勧誘されることもないので、過去の投資実績や手数料などより詳しい情報を入手したい方は、公式サイトから問い合わせてみてください。
ハイクアインターナショナル
運用開始 | 2023年 |
---|---|
投資対象 | ベトナム企業 |
年間利回り | 12% |
最低投資額 | 500万円 |
資料請求・ 運用の相談 | 無料 |
面談の形式 | 原則オンライン |
ロックアップ期間 | なし |
公式サイト | ハイクアインターナショナル公式サイト |
ハイクアインターナショナル(以下、ハイクア)は、親会社であるSAKUKO VIETNAM(以下、SAKUKO)への貸付利息を投資家に利益として還元するファンドです。
SAKUKOはベトナムに進出した日系企業で、日本製品の販売店やスイーツ店、ホテルを多数展開。メディアにも取り上げられています(「SAKUKO VIETNAM」で検索してみてください)。
投資家はハイクアに投資し、ハイクアはそのお金をSAKUKOに融資。SAKUKOはこの資金を元手に事業を拡大させハイクアに利息とともに返済し、ハイクアは投資家に年利12%で配当として還元します。
配当の12%は3カ月ごとに3%ずつ受け取ることも、再投資することも可能。再投資に回せば6年で約2倍に増える計算になります。
金融商品への投資ではなく、経済成長著しいベトナム企業への融資という投資案件のため、格段にリスクが低く堅実なリターンが期待できます。
最低投資額も500万円からと他のヘッジファンドと比較して始めやすい金額設定ですので、投資初心者におすすめです。
ヘッジファンドへの投資には500万〜1000万円以上のまとまった資金が必要になります。
大切な資金を預けるわけですからしっかり話を聞いて、資料請求や運用の相談(無料)を通して、複数のヘッジファンドに問い合わせて比較検討することをおすすめします。
上記2社以外のヘッジファンドは以下の関連記事で紹介しています。
まとめ:トヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドは儲かるのか?
グループ会社や自社の不正問題の渦中にあるトヨタ自動車自体ですが、自動車市場やトヨタ自動車のポテンシャルを考えると、短期的な株価の下落があったとしても、長期的には株価はまだ成長できると考えられます。
しかし、筆者はわざわざ信託報酬を払ってトヨタ自動車/トヨタグループ株式ファンドに投資するメリットは多くないと思っています。
投資信託を利用するメリットは、手間を掛けずに広く分散投資できる、市場の状況に合わせて投資先銘柄の組み換えをしてもらえるという部分が大きいかと思いますが、トヨタグループ株式ファンドでは幅広く分散投資はできませんし、投資先の調整だって20社程のグループ内でしかできません。
グループ会社の多くはトヨタ自動車に売上依存していますから、結局トヨタ自動車の株価が下落すれば共倒れの可能性が高く、投資先を入れ替えたところで大した効果はないのではとも思います。
トヨタ自動車の個別株に投資できるほどの資金(2024年6月現在の最低投資金額は32万円程)がある方であれば、「トヨタ自動車の個別株+広く分散投資の出来る投資信託やヘッジファンド」などで、リスクを抑えた運用を目指してみてはいかがでしょうか。
Toyota Finance Australia Ltdが発行する豪ドル建社債「トヨタファイナンス オーストラリアリミテッド」については、次の記事で解説しています。