「SPYDはおすすめしない」という意見を見かけて迷っていませんか?
SPYDは、米国S&P500指数を構成する銘柄のうち、配当利回りの上位約80銘柄に投資するETFです。
4半期に1回配当を受け取れることからインカムゲインを得たい投資家から特に人気があります。
一方で、株価上昇による売却益(キャピタルゲイン)を狙う人にはおすすめしません。
本記事では、SPYDの特徴やメリット・デメリットについて徹底解説しています。
SPYDで資産運用を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。
SPYDとは
正式名称 | SPDR®ポートフォリオ S&P500®高配当株式ETF |
ティッカー | SPYD |
運用会社 | ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ (SSGA) |
設立年 | 2015年 |
ベンチマーク | S&P 500® High Dividend Index |
投資対象 | S&P 500指数に含まれる高配当株 |
組入銘柄数 | 約80銘柄 |
配当利回り | 約4.5%(変動あり) |
経費率 | 0.07% |
主なセクター | 公共事業、金融、不動産、エネルギー、消費財など |
分配金頻度 | 四半期ごと |
SPYD(SPDRポートフォリオ S&P500高配当株式ETF)は、米国の大手投資管理会社であるステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSGA)が提供する上場投資信託(ETF)です。
SPYDは、S&P500に含まれる高配当株を対象とし、投資家に定期的な配当収入を提供することを目的としています。
インカムゲインが欲しい長期投資家に人気のETFの1つです。
SPDR®ポートフォリオ S&P500®高配当株式ETFが正式名称
投資家の間では「SPYD」の名称で知られていますが、正式名称は「SPDR®ポートフォリオ S&P500®高配当株式ETF」です。
名前の通り、米国の有名な指数S&P500の中から、高配当銘柄約80社に絞って投資しています。
4半期ごとに分配金が支払われるため、配当狙いの投資家に人気の銘柄です。
SPYDの投資対象・ベンチマーク
SPYDの投資対象は、S&P 500®高配当指数(S&P 500® High Dividend Index)です。
この指数は、S&P 500®指数の中でも特に高い配当利回りを持つ上位80銘柄を選定し、時価総額加重平均ではなく、均等加重方式で構成されています。
特定の大型株に依存せず、分散投資できる点がメリットです。
SPYDの上位組み入れ銘柄
SPYDの上位組み入れ銘柄は、配当利回りが高く、安定した収益を提供する企業が選ばれています。
以下は、運用会社の最新データに基づく上位10社の銘柄です。
銘柄名 | ティッカー | 業種 | 保有比率 |
---|---|---|---|
ケラノバ | K | 一般消費財 | 1.61% |
エンタジー | ETR | 公益事業 | 1.53% |
ブリストルマイヤーズスクイブ | BMY | 医療関連 | 1.51% |
キンダー・モルガン | KMI | エネルギー | 1.48% |
ウィリアムズ・カンパニーズ | WMB | エネルギー | 1.47% |
ONE OK | OKE | エネルギー | 1.47% |
モルガン・スタンレー | MS | 金融 | 1.45% |
ケンビュー | KVUE | 一般消費財 | 1.44% |
IBM | IBM | IT・通信 | 1.43% |
BXP | BXP | 金融 | 1.42% |
上記表の通り、SPYDは一般消費財やエネルギー、金融などの業種を中心に投資しています。
選定された上位10銘柄は、いずれも安定したキャッシュフローを有し、高い配当を維持している点が特徴です。
SPYDがおすすめしないと言われる理由・デメリット
ここでは、SPYDがおすすめしないと言われる理由やデメリットについて解説します。
おすすめしない理由① 増配よりも減配した実績の方が多い
SPYDは増配よりも減配した実績が多いため、安定した配当を期待する投資家にはおすすめできません。
SPYDの場合、組入銘柄の業績が全体的に悪化すると配当が減少する点がデメリットです。
たとえば、経済危機や業界特有の問題が発生した際、企業は収益の低下に伴い配当を削減することが多く、これが減配の原因となります。
その結果、SPYDの配当収入が不安定になり、予想よりも低い金額の配当しかもらえないケースもあります。
減配するリスクを避けたい人は、P&Gやスリーエム、ジョンソン・エンド・ジョンソンといった60年以上増配し続けている個別銘柄への投資を検討するとよいでしょう。
おすすめしない理由② トータルの利回りが良くない
SPYDは利回りがよくないので、キャピタルゲイン(売却益)を狙いたい人には向いていません。
トータルリターンが良くない原因は、SPYDのほとんどが成熟した企業で構成されており、大幅な株価上昇が見込めないためです。
安定して高い利回りを求める人には、プロに運用を任せることで10%以上の平均利回りが期待できるヘッジファンドへの投資がおすすめです。
配当利回りを重視するならSPYDでもいいですが、トータルリターンの高さを重視したい場合は、ヘッジファンド投資を検討しましょう。
おすすめしない理由③ 為替リスクが高い
SPYDは米国株投資になるため、為替リスクが高くなります。
SPYDを購入するとドル建ての資産を保有することになるので、円安になれば利益が増えますが、円高になると資産価値が下がってしまう点がリスクです。
為替ヘッジを行うと追加コストがかかるので、さらにリターンが低下します。
このことから、為替リスクを避けたい人にはSPYDをおすすめしません。
おすすめしない理由④ 配当だけだとインフレに負けるリスクもある
高配当株は4半期ごとに配当が振り込まれる点がメリットですが、その反面、インフレに対する体制が弱い点がデメリットです。
インフレが進行すると、実質的な配当の価値が目減りし、生活費の上昇に追いつかなくなるからです。
たとえば、インフレ率が高まると、日常生活のコストが上昇します。
SPYDの配当が一定でも、インフレによりその価値が減少し、実質的な購買力が低下する構造です。
SPYDへの投資は、インフレ対策としては不十分なため、成長株やインフレに強い資産との組み合わせが必要です。
おすすめしない理由⑤ VYM・HDVといった他の高配当ETFより株価が悪い
SPYDはVYMやHDVといった他の人気高配当ETFと比べて株価のパフォーマンスが劣っています。
それぞれのETFの概要は以下の通りです。
SPYD | VYM | HDV | |
---|---|---|---|
運用会社 | ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ | ヴァンガード | ブラックロック |
設定日 | 2015年10月 | 2006年11月 | 2011年3月 |
ベンチマーク | S&P 500 High Dividend Index | FTSE High Dividend Yield Index | Morningstar Dividend Yield Focus Index |
銘柄数 | 約80銘柄 | 約440銘柄 | 約75銘柄 |
経費率 | 0.07% | 0.06% | 0.08% |
配当利回り | 約4.5% | 約3.0% | 約3.5% |
主なセクター | 不動産、公益事業、金融 | 金融、ヘルスケア、消費財 | ヘルスケア、エネルギー、通信 |
分配金支払頻度 | 四半期ごと | 四半期ごと | 四半期ごと |
VYMは約440銘柄に分散投資をしているため、安定したパフォーマンスを出しやすい点がメリットです。
HDVはSPYDと同等の75銘柄に投資していますが、SPYDよりもセクターの分散効果が高いため、パフォーマンスが安定しています。
SPYDも幅広いセクターに投資してますが、ややエネルギーの比重が高いため、分散効果も低くパフォーマンスが安定しにくい点がデメリットです。
直近の配当利回りに関してはSPYDとHDVが4%台となっており、配当利回りを重視するのか株価を重視するのかで評価が割れます。
配当によるインカムゲインだけでなく、株価上昇によるキャピタルゲインも狙いたい人にはSPYDの購入はおすすめしません。
おすすめしない理由⑥ 分配金に米国の税金がかかる
SPYDは米国株の取引に該当するため、米国にて10%の税金が差し引かれます。
さらに、日本では所得税と住民税を合わせた20.315%が課税されるので、手元に残る配当金は約70%です。
高配当といいつつも、実際は引かれる税金が多いので、SPYDへの投資はあまりおすすめしません。
おすすめしない理由⑦ 金融、公共事業、エネルギーなど景気敏感セクターが多い
SPYDは約80銘柄で構成されていますが、金融、公共事業、エネルギーなどの景気に敏感なセクターが中心のため、価格変動のリスクが高い点がデメリットです。
たとえば、金利の上昇はエネルギーや公共事業セクターなどに悪影響を及ぼすので、金融セクターの利益率が低下する可能性があります。
特に、景気後退期はSPYDがメインで投資しているセクターの業績が悪化しやすく、SPYD全体のパフォーマンスに悪影響を及ぼすでしょう。
景気変動のリスクを避けたい投資家には、SPYDの購入をおすすめしません。
景気の動向に左右されずに安定して高い利回りを得たい人は、プロに運用を任せられるヘッジファンドへの投資を検討しましょう。
ヘッジファンドは、さまざまな投資戦略を駆使することで不景気の状況においても絶対収益を目指しているので、安定して10%以上の利回りが期待できます。
おすすめしない理由⑧ 組み入れ銘柄は成熟企業が多く株価成長は期待できない
SPYDに含まれる銘柄は成熟企業が多く、株価成長が期待できません。
成熟企業は市場シェアが確立されているため、成長余地が限られているからです。
たとえば、不動産会社や公共事業関係の企業は既に市場での地位を確立しており、新興企業のような急成長は期待できません。
そのため、株価の上昇も限定的で、キャピタルゲインを狙うには不向きです。
成長ポテンシャルを重視する投資家には、SPYDはおすすめしません。
おすすめしない理由⑨ 組み入れ銘柄が少なく分散が効かない
SPYDは組み入れ銘柄が少なく、分散投資の効果が十分ではありません。
80銘柄の中でも十分に分散しているとは言えず、エネルギーや金融、公共事業関連銘柄への比重が高い点が特徴です。
依存度の高いセクターの景気が悪くなれば、SPYDに及ぼす影響も高くなり価格の下落につながります。
より広範な分散投資を求め、安定したリターンを得たいなら、安定して10%以上の利回りが期待できるヘッジファンドへの投資がおすすめです。
SPYDに投資するメリット
ここまで、SPYDのデメリットをご紹介しましたが、SPYDには4つのメリットもあります。
SPYDのメリット① 配当利回りは高い
SPYDの最大の魅力は配当利回りの高さです。
SPYDの配当利回りは約4.5%です。S&P500の中でも特に高利回りな銘柄に投資しているため、高い利回りを実現しています。
株価上昇によるキャピタルゲインは期待せずに、長期投資により配当金をもらい続けたい人はSPYDがおすすめです。
SPYDのメリット② 1つの銘柄だけで分散投資ができる
SPYDに投資すれば、ポートフォリオを組まなくても約80銘柄に分散投資できる点がメリットです。
個別銘柄への投資の場合、業績が傾けば株価が大きく下落するリスクがあります。
しかし、SPYDに投資すれば80社に分散投資することになるので、組入銘柄の1社の株価が大きく変動しても影響を受けにくくなります。
分散投資することで、安定した資産運用を行いたい人にはSPYDをおすすめします。
SPYDのメリット③ 1株から買えるので少額で投資できる
SPYDは1株(100円以下)から購入できるので、少ない資金でも投資できます。
SPYDに含まれる80銘柄に個別投資しようと思えば、資金力が必要です。
しかし、SPYDに投資すれば少額から80銘柄に分散投資できます。
余剰資金が少なくても、気軽にSPYDに投資できる点が大きなメリットです。
SPYDのメリット④ ETF運用にかかる経費率は比較的低い
SPYDはETF運用にかかる経費率が比較的低いので、コストを抑えられます。
SPYDの経費率は0.07%なので、ゼロに近い数値です。
VYMの経費率0.06%とHDVの経費率0.08%と比較しても大差はありません。
経費率が高いと利益が圧迫されますが、SPYDの経費率は比較的低いので安心です。
SPYDの購入方法と買い時
SPYDは楽天証券やSBI証券などの証券会社で購入できます。
まずは、証券会社で口座開設を行い、購入資金を入金しましょう。
証券会社の取り扱いETFの中からSPYDを探して購入できます。
SPYDを購入できる主な証券会社は次の通りです。
証券会社 | 取引ツール | 特徴 |
---|---|---|
楽天証券 | iSPEED | 投資信託の取り扱いが豊富 |
SBI証券 | HYPER SBI | 米国株の取扱銘柄数が豊富 |
マネックス証券 | マネックス証券アプリ | 取引ツールが使いやすい |
松井証券 | ネットストック・スマート | 長期投資に適した手数料体系 |
SPYDの買い時については、配当利回り目的であれば、すぐに購入することをおすすめします。
SPYDは四半期に一度、配当が支給されるので早く購入した方が、長期にわたって配当を受け取れるためです。
キャピタルゲインを狙うのであれば、下落相場になるのを待ち、株価が安くなったタイミングで購入しましょう。
ただし、SPYDはキャピタルゲイン(売却益)よりもインカムゲイン(配当収入)の方が魅力の銘柄です。
SPYDでの資産運用を考えているのであれば、できるだけすぐに購入することをおすすめします。
高利回りを目指すならヘッジファンドも検討しよう
SPYDは高配当が期待できるものの、株価上昇によるリターンはあまり期待できません。
また、SPYDの利回りは景気に左右されやすいため、安定性に欠けるといえます。
安定性やトータルリターンで高利回りを目指すなら、ヘッジファンドを検討しましょう。
ヘッジファンドは、景気に左右されることなく安定して10%以上の高利回りが期待できる投資先です。
特におすすめできるヘッジファンドは以下の2社です。
BMキャピタル
BMキャピタルは設立以来、10年以上連続で平均利回り10%超えを達成しているヘッジファンドです。
バークレイズ証券など世界屈指の外資証券出身の金融のプロが資産運用しており、不況下においても運用益がマイナスになったことがないため、安心して任せられます。
どのヘッジファンドにすればよいか迷った場合は、安定感抜群のBMキャピタルがおすすめです。
ハイクアインターナショナル
ハイクアインターナショナルは、親会社のSAKUKO VIETNAMに事業融資を行うことで、利息分を配当として投資家に分配します。
事業への融資による貸付利息で目標利回り12%を追求しているため、安定して高配当を受け取りたい方におすすめのヘッジファンドです。
高配当ETFのSPYDを検討している人には、BMキャピタルよりも年4回配当がもらえるハイクアインターナショナルの方が適している可能性があります。
まとめ
SPYDをおすすめしない理由と、投資するメリットについて解説しました。
SPYDは配当利回りが約4.5%の高配当ETFとして知られています。
ただし配当利回りは良いもののトータルリターンは高くありません。
安定して高利回りを狙いたい人、かつ投資資金が500万円以上ある人には、SPYDよりもヘッジファンドへの投資がおすすめです。
以下記事ではヘッジファンドの概要についてや、おすすめのファンドをランキング形式でご紹介していますので、是非ご参考ください。