ソフトバンクグループが発行する債券(ソフトバンク社債)は、銀行預金や国債よりも高利回りな投資先として個人投資家から人気です。
一方「ソフトバンク社債への投資は危険」という声も少なくありません。
そこで本記事では、ソフトバンク社債の銘柄や特徴、ソフトバンク社債が危険と言われる理由、投資するメリットなどを解説します。
また、ソフトバンク社債の他におすすめしたい投資先も紹介しますので、高利回りな投資先をお探しの方は、ぜひご一読ください。
- ソフトバンク社債の種類や特徴
- 危険と言われる理由
- 投資メリット
- その他の有効な投資の選択肢
ソフトバンクグループとは?
「ソフトバンク」と聞くと携帯のキャリアをイメージする方が多いですが、それはソフトバンク株式会社の行う事業。
本記事で解説する「 ソフトバンクグループ株式会社」は、1254社の子会社を傘下に置く純粋持株会社です。
自らは事業を行わず、実際に事業を行う会社の株式を所有することで、子会社の事業活動を支配することを目的とする会社のこと。つまりは投資会社。
社名 | ソフトバンクグループ株式会社 (SoftBank Group Corp.) |
---|---|
設立 | 1981年9月3日 |
代表取締役 | 孫正義 |
資本金 | 2,387億72百万円 |
事業内容 | 純粋持株会社 |
ソフトバンクグループ株式会社は、携帯キャリアであるソフトバンク株式会社をはじめ、IT・AI・半導体・ロビット事業・投資事業などの様々な事業を行う会社の株式を取得(投資)し、配当金や売却益などで利益を得ています。
- 持株会社投資事業
ソフトバンクグループが、直接または子会社を通じて幅広い範囲の企業に投資。 - ソフトバンク・ビジョン・ファンド事業
ソフトバンク・ビジョン・ファンド(SVF)という巨大ファンドを通じてテクノロジー分野を中心に投資。 - ソフトバンク事業
携帯端末の販売、モバイルサービス・ブロードバンドサービス・ICTサービス商材・メディア・広告・コマースサービス・金融サービスなどの提供(ソフトバンク株式会社・LINEヤフー株式会社・PayPay株式会社など)。 - アーム事業
同グループが買収した英国の半導体設計企業アーム社を中心とした事業。
ソフトバンク社債とは
では、そんなソフトバンクグループが発行する社債とは、どのような債券なのでしょうか。
そもそも社債とは、企業がビジネスの拡大や設備投資などを目的として、投資家から広くお金を借りる手段として発行する借用証書のようなものです。
社債を購入して満期まで保有することで、定期的に利子を受け取り、満期時には投資元本の償還を受けることができるため、投資家の資産運用先として利用されています。
ソフトバンクグループ株式会社・ソフトバンク株式会社とも社債を発行していますが、携帯キャリアのソフトバンク株式会社の社債の利率は1%前後と高くないため、一般的に「ソフトバンク社債」として話題に上がるのは、ソフトバンクグループ株式会社の発行する社債です。
ソフトバンクグループの個人向け社債が人気
「ソフトバンク社債」とも略記されるソフトバンクグループ社債は、債券金額が1億円の機関投資家向けの社債と、債券金額が100万円の個人投資家向けの2種類に大別できます。
このような個人投資家向けに100万円程度に小口化された社債を「個人向け社債」と呼んでいます。
ソフトバンクグループの個人向け社債は、他社の社債と比較して相対的に高利回りであるため、発行から数時間で売り切れる人気銘柄として話題です。
ソフトバンクグループの個人向け社債の発行銘柄一覧
ソフトバンクグループの個人向け社債の特徴をご理解いただくために、ここでは、過去10年間に発行された個人向け社債を一覧でご紹介します。
ソフトバンクグループの個人向け社債は、大きく以下の3種類です。
1. 無担保普通社債
普通社債は最も一般的な社債タイプで、株式への転換権や新株予約権などの特殊な権利が付与されていない社債です。文字通り、返済を保証するための担保(不動産や設備など)もありません。
2. 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)
無担保普通社債の特徴に加えて、以下のような特徴のある社債です。
「利払繰延条項」‥会社の財務状況が悪化した場合など、一定の条件下で利払いを延期できる。
「期限前償還条項」‥社債の満期前に会社側が決めた日付で償還できる。
「劣後特約付」‥ 普通社債よりも元利金返済の優先順位が低く、会社が倒産した場合など、他の債券者よりも返済が後回しになる。
3. 無担保社債(劣後特約付)
無担保社債の特徴に加えて、劣後特約のついた社債です。
利払繰延条項・期限前償還条項・劣後特約は投資家にとっては不利な条件であるため、これらの条件の付いた社債の利率は普通社債よりも高く設定されている場合が多いです。
ソフトバンクグループは、これらの個人向け社債の他にも、機関投資家(法人)向けに円建て・ドル建て・ユーロ建ての様々な社債を発行しています。(参考:ソフトバンクグループ|社債情報)
ソフトバンク社債は危ない?理由やリスクを解説
ソフトバンク社債、特にソフトバンクグループの個人向け社債が一般の投資家に人気である理由は、利回りが高いからと解説しました。
実際、他社の個人向け社債の利率が0.3%~2.3%程度であるのに対し、ソフトバンクグループの個人向け社債は1.38%~4.75%程と相対的に高めです。
しかし、基本的に投資商品のリターンとリスクは比例関係にあるため、高利回りの社債は、リスクや危険性も高くなるのが通例です。
そこで続いては、ソフトバンク社債(ソフトバンクグループの個人向け社債)が「危険だ」と言われる理由を見ていきましょう。
ソフトバンク社債の危険性①中途売却による元本割れリスクがある
ソフトバンクグループの個人向け社債のリスク1つ目は、中途売却による元本割れリスクを負うことです。
ソフトバンク社債に限らず、一般的に社債は満期前でも証券会社に中途売却ができるのですが、その際には以下のような点に注意が必要です。
- 中途換金は市場価格(時価)での売却となるため、購入時よりも債券価格が下落していた場合、売却損により元本割れする場合がある
- 社債の発行体の信用リスクの変化、市場環境の変化などにより流動性が低くなる場合がある(買い手が付かず売れない場合がある)
市場での社債価格は、発行体企業の信用力の他、金利・景気動向・金融政策・為替などに影響を受けて日々変動しています。
市場金利 | 上昇 | 社債の売却が増加 | 社債価格は下落 |
---|---|---|---|
下落 | 既発社債の購入が増加 | 社債価格は上昇 | |
景気 | 上昇 (資金需要が増加) | 金利上昇 | 社債価格は下落 |
後退 (資金需要が減少) | 金利低下 | 社債価格は上昇 | |
金融政策 | (景気上昇→インフレ) 金融引き締め実施 | 金利上昇 | 社債価格は下落 |
(景気後退→デフレ) 金融緩和実施 | 金利低下 | 社債価格は上昇 | |
為替 | 円安 (景気が上昇) | 金利上昇 | 社債価格は下落 |
円高 (景気が後退) | 金利低下 | 社債価格は上昇 |
特に最近は10年物の国債利回りが上昇傾向にあるため、それに追随する形で社債価格の上昇が予想されます。そうなると既発の債券の価格は下がりますので、中途売却による売却損のリスクは高まるでしょう。
またソフトバンクグループの個人向け社債の中でも「劣後債」のような特殊な条件の付いた社債は投資家が避けやすいため、これらが障害となって「売りたくても売れない」事態に陥りやすくもなります。
満期時まで保有すれば元本が償還される社債ですが(デフォルト時を除く)、満期前に中途換金する可能性がある人は価格変動リスクや流動性リスクに注意が必要です。
特にソフトバンクグループの個人向け社債は、満期までの期間が6年~35年と長めの銘柄もあるため、今後の資金予定をよく確認し慎重に購入する必要があるでしょう。
ソフトバンク社債の危険性②劣後特約が付いた銘柄がある
「ソフトバンクグループ個人向け社債の発行銘柄一覧」で紹介したように、過去10年間に発行されたソフトバンクグループの個人向け社債のうち約半数は「劣後特約」のついた社債です。
「劣後特約付」の社債は、普通社債よりも元利金返済の順位が低く、デフォルトリスクが高くなる分、普通社債よりも利率は高めです。
ソフトバンクグループは、特に2021年頃から、事業不振による自己資本比率の低下を改善させるため、集めた資金の一部を自己資本に算入できる劣後債の発行に積極的です。
しかし、ソフトバンクグループが事業破綻した場合、債権者への弁済順位は「普通社債→劣後社債→株式」の順に行われるため、倒産すれば投資金がほとんど戻らない危険性があります。
大企業と言えど破綻しないという保証はなく、実際日本でも以下のように定期的に有名企業の破綻と社債のデフォルトが発生してきました。
日本の社債のデフォルト率は、米国などと比較すると件数こそ少ないものの、回収率(投資資金が返ってくる確率)は、数%~20%程度と極めて低い傾向にあります。
ソフトバンク社債についても、「大手だから大丈夫」という曖昧な根拠で購入を決めてしまうのではなく、同社の財務状況の確認や分散投資を徹底するなどのリスク対策をしておくのが無難です。
ソフトバンク社債の危険性③利払繰延条項が付いた銘柄がある
ソフトバンクグループは、最近では2023年4月に「ソフトバンクグル-プ株式会社第6回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)」という利払繰延条項付の社債を2220億円規模で発行しています。
本社債では、当初5年固定利率が4.75%と、リスクと引き換えに高い利回り条件となっています。
「利払繰延条項」が付いていると、会社の財務状況が悪化した場合などに、利息の支払いが延期されてしまうリスクがあります。
「利払繰延条項」は、ソフトバンクグループ側にとっては、一時的に利払い負担の軽減し、次の資金調達までに時間を稼げるというメリットがありますが、投資家目線では、計画通りに利子を受け取れないというデメリットとなるだけでなく、社債のデフォルトリスクが懸念される事態にもなり得ます。
ソフトバンク社債の危険性④期限前償還の可能性がある
直近10年間に発行されたソフトバンクグループの個人向け社債のうち、以下の2銘柄は「期限前償還条項付」となっています。
「期限前償還条項」のついた劣後債は、高い確率で満期前に繰り上げ償還されるのが通例です。
劣後債は、集めた資金の一部を自己資本への算入できる(発行体は株価を落さずに自己資本比率を増やせるというメリットがある)のですが、初回償還可能日以降は、資本性評価が低下してしまう上、表のように支払い利率も上昇してしまうので、発行体は初回償還可能日を過ぎると繰り上げ償還するのです。
実際、2016年に発行された3つの「利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)」は全て5年~7年で繰り上げ償還されています。
つまり社債の利率が「利率は当初5年間4.75%、次の15年間は1年国債金利+4.84%、次の5年間は1年国債金利+4.89%、以降は1年国債金利+5.59%」となっていたとしても、利率上昇の恩恵を受けられる可能性は低いという事です。
「期限前償還条項」のついた社債では、会社側の都合で満期前に償還ができてしまうため、投資家は当初の資産運用計画に変更を余儀なくされる場合があります。
ソフトバンク社債の危険性⑤信用格付けが低い
社債の信用格付けとは、第三者機関である格付け会社が、社債の発行体企業の信用力や債券の安全性などを評価し、ランク付けしたものです。
日本国内には「日本格付研究所 (JCR)」や「格付け投資情報センター (R&I)」、海外には「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)」や「ムーディーズ・インベスターズ・サービス(Moody’s)」などの格付け会社があります。
では、既出のソフトバンク社債(個人向け社債)の発行銘柄一覧表を改めて見てみましょう。
ソフトバンクグループの個人向け社債の信用格付け(JCR実施)では、
1. 無担保普通社債‥AもしくはA-
2. 利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)‥BB
3. 無担保社債(劣後特約付)‥BBB+
となっています。
これらがどのような意味を持つかは格付け会社の格付け等級定義から理解できます。
JCRの格付け等級の定義(下図)を見ると、劣後特約付の社債は「BBB(債務履行の確実性は認められるが、上位等級に比べて、将来債務履行の確実性が低下する可能性がある。)」と評価されています。
また社債そのものではなく、発行体であるソフトバンクグループ株式会社に対する格付けは、以下のように公表されています。
格付け会社 | 格付け等級 | 格付け定義 |
---|---|---|
日本格付研究所(JCR) | A | 債務履行の確実性は高い |
スタンダード・アンド・プアーズ (S&P) | BB+ | 債務者は投機的な要素が大きい。 債務者は短期的にはより低い格付けの債務者ほど脆弱ではないが、 高い不確実性や事業環境、金融情勢、または経済状況の悪化に対する脆弱性を有しており、 状況によってはその金融債務を期日通りに履行する能力が不十分となる可能性がある。 |
ムーディーズ(Moody’s) | Ba3※ | 投機的と判断され、相当の信用リスクがある債務に対する格付。 |
日本の格付け会社は比較的高い格付けを付与している一方、海外格付け会社の評価は相対的に低めとなっています。
参考までに、スタンダード・アンド・プアーズ (S&P)が公表した格付け別の平均累積デフォルト率を見ると、「BB」の格付けを受けた企業のデフォルト率は10年後で11.24%という結果でした。
あくまで統計データではありますが、S&Pにより「BB」の格付けを受けたソフトバンクグループの社債のリスク度を理解する目安にはなるのではないでしょうか。
10%のデフォルトリスクを高いと捉えるか低いと捉えるかは投資家次第ですが、自分の大事なお金が10%程の確率で失われる危険性があるということを十分認識した上で投資を決定すべきでしょう。
ソフトバンク社債の危険性⑥発行体の財務状況が不安定
様々な社債のリスクの中で最も注意すべきは、倒産や経営破綻により社債がデフォルトとなり、投資資金が大きく元本割れしてしまうケースです。
そのためソフトバンク社債を購入するのであれば、事前にソフトバンクグループの財務状況をしっかりと確認しておく必要があります。
純資産 | 自己資本比率 | 純利益 | 投資損益 | 主なイベント | |
---|---|---|---|---|---|
2019年 | 5兆9136億円 | 27.2% | ▲9616億円 | ▲1兆4101億円 | ・UberやWeWorkなどの評価損失により財務状況悪化 |
2020年 | 10兆2130億円 | 18.3% | 4兆9879億円 | 7兆5290億円 | ・大規模な金融緩和で株式市場が急上昇し評価損益が上昇 ・アリババ株式も上昇 |
2021年 | 9兆9756億円 | 12.3% | ▲1兆7080億円 | ▲3兆4347億円 | ・アリババ株式が暴落 ・1兆円を超える劣後債を発行 |
2022年 | 9兆298億円 | 23.3% | ▲9701億円 | ▲8350億円 | ・アリババ株式一部売却 ・5500億円の劣後債を発行 |
2023年 | 11兆1621億円 | 22.8% | ▲2276億円 | ▲5593億円 | ・世界的な株式市場の上昇で赤字幅縮小 ・半導体設計大手アームがナスダック上場 ・アリババ株式一部売却 ・2220億円の劣後債を発行 ・11月米ウィーワークが経営破綻 ・円安によりドル建て負債で7031億円の為替差損が発生 |
参考:ソフトバンクグループ|財務レポート2024
ソフトバンクグループの過去5年間の業績は乱高下しており、2021年からは3期連続で巨額の赤字が続いています。
2020年には投資損益が1.4兆円の赤字から7.5兆円の黒字へ転換していますが、これは大規模な金融緩和による株式市場の急騰の恩恵も強く影響しています。
2020年のコロナバブルを除いて赤字決算が続いているソフトバンクグループ。いくらソフトバンクグループが未来を見据えて投資しているとはいえ、現在のところは「健全」とは言い難い財務状況と言えます。
2021年には自己資本比率も12.3%に落ち込んでしまい、数千億~1兆円を超える劣後債を発行して自己資本を補っている様子も確認できます。
このような経営状況にあっても、ソフトバンクグループが投資家からの人気を維持し、今後も継続して資金を集められる限りは、社債がデフォルトに陥る可能性は低いとは考えられます。
しかし、投資会社である同グループの業績の変動幅は非常に大きく、ハイリスクな経営であるため、同社の投資先動向や財務状況には常に注意を払い、慎重に投資判断をする必要があるでしょう。
また個人レベルで出来るリスク対策として、 ソフトバンクグループ以外の商品にも資産を分散させて、価格変動リスクやデフォルトリスクを最小限に押さえる努力が必要でしょう。
ソフトバンク社債の危険性⑦インフレ負けする可能性がある
ソフトバンクグループの社債の利回り(過去10年間で発行された個人向け社債の利回り)は、以下の通りでした。
では次に、IMF(国債通貨基金)が公表している日本のインフレ率の推移と2024年以降の推計値を見てみます。
日本のインフレ率は、2020年のコロナショック以降始まった世界規模の金融緩和などの影響を受け、2023年には3%を超えました。
今後のインフレ予想については様々な意見があるものの、IMFの予想では、今後も2%台が続くとの予想がなされています。
例えば、2021年6月に発行された「ソフトバンクグループ株式会社第5回利払繰延条項・期限前償還条項付無担保社債(劣後特約付)」の利率は、発行から5年間は固定で年率2.75%ですが、インフレ率を2%とすると、実質的な資産運用効果は年0.75%ほどにしかならない計算になります。
本当に資産を増やしたいのであれば、昨今のインフレ状況を加味してより高い利回りが期待できる金融商品に投資すべきですし、何より年利0.75%ほどで劣後特約のついた元本毀損リスクの高い社債に投資するのは割りが合わないと言えるのではないでしょうか。
以上が、ソフトバンクグループの個人向け社債が危険と言われる理由でした。
ソフトバンク社債に投資するメリット
既出の通り、発行体の財務状況や投資家に不利な社債条件などから「危険」と言われているソフトバンク社債ですが、それでもなお発売後すぐ完売するほど人気な理由は、以下のような投資メリットがあるからです。
ソフトバンク社債のメリット①基本的には元本の変動がない
上で言及したように、社債などの債券は、購入してから満期が来るまで途中売却することなく持ち続ければ、基本的には満期時に投資元本が満額償還されるのが特徴です(手数料等も不要)。
そのため、投資家は予め長期での投資計画を立てやすく、債券の保有中も、価格変動リスク等を気にせず安定して運用できるというメリットがあります。
ただし、社債そのものには価格変動リスクがない(満期まで保有時)とはいえ、社債の発行元であるソフトバンクグループは、他社の株を保有して利益を得る投資会社です。
アリババ、Wework、スプリントなどへの投資失敗が良い例であるように、投資先企業の業績が悪化して株価の下落やIPOの失敗などが起これば、出資するソフトバンクグループにも億や超単位で損失が生じます。
ソフトバンクグループの財務状況が悪化すれば、社債などを通した新たな資金調達が難しくなり、過去に発行した社債の償還が難しくなる(投資家が投資元本を回収できなくなる)可能性もないとは言えないでしょう。
ソフトバンク社債のメリット②比較的高利回りが期待できる
ソフトバンクグループの個人向け社債の利回りの高さは繰り返し言及していますが、ここでは個人投資家の投資先として考えられる金融商品の期待利回りと比較して、ソフトバンク社債の優位性を確認してみましょう。
銀行預金 | 年利0.002%~0.30%程 |
---|---|
国債 | 日本国債 年利0.1%~0.7%程 米国国債 年利4.6%~4.8%程 |
社債 | 円建て国内社債 年利0.3%~2%程度 米国社債 年利2~7%程度 |
投資信託 | 年利3%~8%程度 |
株式投資 | 年利3%~8%程度 |
不動産投資 | 年利4%~5%程度 |
ヘッジファンド | 年利10%~20%程度 |
記事内で解説したように、過去10年間に発行されたソフトバンクグループ個人向け社債の利率は、1.38%~4.75%程度でした。
例えば年率4.75%のソフトバンク社債を100万円分購入すると、年間47,500円(税引後37,850円)もの利子を受け取れる計算です。
表で示した銀行預金・国債(日本国債)・社債(日本の円建て社債)と比べると、ソフトバンク社債が高利回りであることは確かです。
ただし、個人の資産運用先としてソフトバンク社債よりも魅力的な商品がないかというとそうではありません。
例えば、投資信託やヘッジファンドなどのように、ソフトバンクグループの個人向け社債よりも高い利回りが期待できる投資先は多くあります。
これらの金融商品は日々価格が変動するため元本割れリスクを負いますが、収益性やリスクの分散性、資産の流動性ではソフトバンク社債よりも優位です。
もちろん、株式市場全体が大きく下落するような事態になれば元本割れの危険性もありますが、そのような市況では株式に投資をするソフトバンクグループの業績もかなりの悪影響を受けることが予想されます。
このように、ソフトバンク社債は元本の変動のない「債券」ではありますが、結局はリスク資産である株式市場の影響を受けやすいという性質を持っているため、リスク対効果が適切な商品であるかは再考の余地があるでしょう。
ソフトバンク社債の購入方法
以上の内容を理解した上で、ソフトバンク社債の購入をしたいという方は、以下の購入方法と注意点を確認しておきましょう。
ソフトバンクグループの個人向け社債は、一部の証券会社で購入可能です。
- SBI証券
- マネックス証券
- 大和証券
- 野村証券
- 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- みずほ証券
- 東海東京証券 等
ソフトバンク社債は高利回りで人気が高いため、購入申し込み開始から数時間後には完売してしまうことが殆どです。
社債の発行は不定期なので、日ごろから同社のコーポレートサイトや証券会社のホームページで発行情報をこまめにチェックしておくのが購入タイミングを逃さないためのコツと言えます(普段から取引のある証券会社の営業マンから案内を受け取るのも一つです)。
購入申込の募集が開始されたら、募集事項を確認の上、証券会社の窓口や営業に注文するか、ネット証券のWebサイトからオンラインで購入手続きが可能です。
安定性と収益性の両方を求めるならヘッジファンドもおすすめ
社債を含む債券は、発行体が破産しない限り投資した元本がそのまま戻ってくるため、基本的には安全性の高い投資先です。
ただし、ソフトバンクグループの高利率な社債には、劣後特約・利払繰延条項・期限前償還条項付など投資家に不利な条件が付いていること、ソフトバンクグループの事業はハイリスクであることを念頭に、万が一の事態に備えてリスク分散は徹底しておきましょう。
ソフトバンク社債と同等もしくはそれ以上の利回りが期待できる代替の投資先としては、投資信託・ヘッジファンド・株式投資・不動産投資などが挙げられます。
投資信託 | 年利3%~8%程度 |
---|---|
株式投資 | 年利3%~8%程度 |
不動産投資 | 年利4%~5%程度 |
ヘッジファンド | 年利10%~20%程度 |
この中でも、投資に手間が掛からず、高い収益性と安定性が期待できるのが「ヘッジファンド」です。
- 投資家から集めた資金を投資のプロ(ファンドマネージャー)が広く分散投資
- 投資知識のない初心者でもプロの手腕で高い利回りを狙うことができる
- 運用を委託するため、株や不動産投資のような投資の手間が掛からない
- 株式・債券・デリバティブ・オプションなど多様な資産に投資するため、分散性や収益性が高い
- 空売りやレバレッジを使用した高度な戦略で、下落相場でも効果的に利益が狙える
一見投資信託と似ていますが、ヘッジファンドは投資規制が緩く(高度な手法や幅広い投資商品などを通じて)投資信託よりも柔軟な対応ができるため、下落相場にも強く、結果的に安定して高い利回りを生みだすことができるのです。
ヘッジファンドにも様々ありますが、中でもおすすめなのは次の2社です。
- 東大卒、英国バークレイズ出身のファンドマネージャーが運用。
- 厳選したバリュー株をメインに平均利回り10%以上の運用実績。
- 過去10年以上の運用で一度も運用成績がマイナスになった年がない安定感のある日本のヘッジファンド。
運用開始 | 2013年 |
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投資対象 | 日本株(バリュー株) |
年間利回り | 10%以上 |
最低投資額 | 1000万円 ※1000万円未満も相談可 |
資料請求または 運用の相談 | 公式サイトより無料で可能 |
- ベトナムの日系法人「SAKUKO VIETNAM」に融資し、貸付利息を投資家に還元する日本のファンド。
- 「SAKUKO VIETNAM」は既に広く事業を展開しており、年4回配当金として年利12%を投資家に還元する。
運用開始 | 2023年 |
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投資対象 | 日系ベトナム企業 |
年間利回り | 12% |
最低投資額 | 500万円 |
資料請求または 運用の相談 | 公式サイトより無料で可能 |
以下の記事では、上記2社を含めた日本のおすすめヘッジファンドをランキング形式で紹介しているので、より多くの選択肢をご覧になりたい方はこちらもご一読ください。
ソフトバンク社債の特徴や危ないと言われる理由まとめ
本記事では、ソフトバンクグループの個人向け社債(ソフトバンク社債)の商品特徴や、投資リスク、投資メリットなどについて紹介しました。
ソフトバンクグループは、ITやAI技術に関連する事業に先行投資する投資会社として、将来的な成長が期待されているものの、大規模な投資に伴う業績の変動が大きく、収益の安定性の面では課題が多い企業です。
ソフトバンクグループの発行する社債の中にはリスクが高い劣後債も含まれるため、事前に同社の財務状況などからデフォルトリスクが高まってないかなどをしっかりと確認し、分散投資などのリスク対策を徹底した上で投資判断を行うようにしましょう。